前半も終わりに近い、44分。
『ポンテの突破からワシントンが勝ち越しゴールを決め、
前半を2―1のリードで折り返した』ところでテレビを消して
玄関のカギをかけた。
もう大丈夫。
最後まで見届けたい衝動と格闘しつつも、ウチはクルマの
鍵を取り出して買い物に出掛けた。
93年の発足から3ステージ連続最下位。
不甲斐ない内容の試合を観るたびに本気で怒った。
Jリーグ初の下位リーグ転落に本気でヘコんだ。
翌年のJ1復帰に雄叫びを挙げて歓喜した。
一番好だった選手ギドの引退に喉の奥がウッとなり、
幾年か経ち彼の監督就任の報を聞いて目頭が熱くなった。
ウチらは、自分たちがスタンドを赤く染め声を上げることが、
選手とサポーター自らにとって最高の演出になると信じている。
勝ったときには「We are REDS!」と大合唱し。
エキサイトしすぎて、かつてはピッチになだれ込んだり、
相手選手やサポーターをガンガン威嚇したりもしたけれど。
03年ナビスコ杯獲得。
04年2ndステージ優勝。
05年天皇杯優勝。
今年2月には、Jリーグ優勝チームと天皇杯優勝チームで
争われるゼロックススーパーカップのタイトルも獲得した。
日本版フリーガンと陰口叩かれた熱狂的サポーター集団は、
2ndステージ優勝を決め、推定20トンの紙ふぶきが舞ったと
いわれる試合後、自分たちでまいた紙ふぶきは自分たちで
掃除して帰る、という行儀も身につけた。
「Jリーグのお荷物」から「世界のビッグクラブ」、そして。
『浦和、悲願のJ1初優勝 直接対決でガ大阪下す』
[2006年12月02日15時51分 朝日新聞]
買い物から帰ってきて一作業を終わらせた後に、親友から
メールで試合のことを知らせるメールが入っていた。
スポーツニュースを見て、家を出る際に抱いていた確信が
事実に変わった瞬間を見届けた。
新しい勤め先への入社を来週の金曜日に控え、ソレまでは
と止めていたビールを冷蔵庫の中から取り出す。
プシュ!カコ!っという小気味良いプルトップの音がする。
We are REDS
十数年待ち続けた日が、本日ようやく訪れた。
選手と全ての仲間達にカンパイ!