青と金の色彩を全身に施した何だかゴージャスな骸骨や、
下半身が蛇だけど上半身は古代エジプト女性のような姐さん、
ラミアの脇を戦々恐々として通り過ぎる、休日の朝7時半。
薄暗い空。ゴツゴツとした岩場。座礁した船の残骸。
凡庸という言葉を具現化したウチのオツムから「船の墓場」
「バミューダトライアングル」といった陳腐な単語が出力される。
【アラパゴ暗礁域】。
休日は優雅にカッコヨクまったりノンビリ過ごしたい!
そう思いつつも無為に消費されてゆく時間に耐え切れなくて、
つい5時半とか6時に目が覚めてしまう。嗚呼、小市民。
目覚めちゃったものはしょうがない。渋々ベットから飛び降りる。
鍋でお湯を沸かしてレトルトカレーを温めつつ、外の洗濯器に
一週間分の洗い物を放り込み、Tシャツ短パン姿で外に出る。
三軒隣のコンビニで白いご飯だけ買って(「暖めますか?」
【はい。お願いします】)来たら大皿に移して、暖まったカレーを
(
LE●辛さ×40倍。大好き)を豪快にドバっと流し込んだら、
スプーン片手に、おもむろにテレビとプレステの電源を入れる!
そういう人に私はなりたい。
【ウソ】
そんな侘しい朝の営みを経て、降り立ったヴァナ・ディール。
【竜騎士】のカッコして、いつも通り【ジュノ上層】の競売前に
佇んで、辛い珈竰んまいンマイとやってるとテルが入る。
「おはよう。どうせまた放置プレイでやってないんだろうから、
今から【移送の幻灯】のワープ開けに行くよ」
!?
休日の朝、額に汗浮かべながら食事してる呑気なボウズ頭に
向かって、フレ様の奇襲攻撃。
故郷の脳筋・量産型共和国の最終ミッションをご一緒して以来、
ウチを気に掛けてくれるフレ様から突然のお申し出を頂戴する。
【移送の幻灯】とは。
『基点はアトルガン白門の六門院にあり、各地の監視哨との
間の行き来をすることができる』装置らしい。
非常に乱暴ながら、解り易く言うと。
『人を粒子に分解して転送し、転送先で再構成』したらハエが
入っててアラ大変、な某映画のようなモノかと。
『ただし、ある監視哨に移動するためには、一度該当の
監視哨側から移送の幻灯を使用して六門院へのルートを
確保しておく必要がある』そうな。
(以上、カッコ書きは「
FF11用語辞典++」様から抜粋)
ふーん。
そんな便利なモノが、新大陸の皇国にもあるんだと感心する。
が、竜マゲが終わるまで皇国関連のは完全放置だもんね!と
意味もなく決めてたウチはモゴモゴ言い訳並べて、この有難い
お申し出を辞退しようとする。
曰く。
朝早いしフレ様に迷惑掛けられないし地図ないしetcエトセトr。
。。。大人オトナって、天邪鬼って、ホントにオバカで面倒。
記事書いてて、あまりの回りくどさに我ながら閉口する。
「皇国でのレレルマゲ、いま増えてるから今のうちにしとかんと、
誘われなくなってヤヴァイよ?」
ゼロ「ぇー。じゃあ、行く往く逝くイクイク。イカせて!」
ラクか、トクか、オモロイか。
サスガに知り合って1年や2年も経つと、馬の鼻先に垂らされた
人参に飛びつくウチの行動原理三原則を知り尽くしてる。
まんまとエサに釣られて、ノコノコとジュノから皇国に戻ってきた
【白魔導士】姿のウチを従えて、フレの赤様は先に走って行く。
薄暗い空。ゴツゴツとした岩場。座礁した船の残骸。
道中で落ちてた「ラミアの牙のカギ」を使って鉄で出来た扉の
中に入った暗礁域を、魔法で足音と姿を消しながらウチは
同じく姿を消したフレ様のターゲットの矢印を追って恐る恐る
後を追いかける。
足音を消す魔法【スニーク】の効果が数秒おきに切れるのに
キレながら。
せむし男とかペンギンとか皇国風の煌びやかな高級装備を
その身に纏ったフォモルという怨霊とか。
初めてみる光景や敵に目を奪われて、その場に立止まる。
優秀な水先案内人がいるのを良いことに観光気分で走る事、
40分。
「ドゥブッカ島監視哨」。
【青魔導士】の装備に身を包んだ皇国のNPCに話掛けたら、
ワープ装置【移送の幻灯】を起動して皇国領に戻る。
これで、ワープの移送ルート1つ確保。
思わず口から出た、安堵の溜め息もひとつ。
さらに、「アズーフ島監視哨」と「ハルブーン監視哨」までも
ハーメルンの笛吹き男に付き従うネズミよろしくフレ様の後を
盲目的に追尾するヘタレが一人。
当然、皇国領の地形や位置関係なんざ解ってない。
なので、皇国内の転移装置を利用して移送してもらっても、
この3つが何処に出るかも勉強不足で全く判らない道理。
しかも、ワープを起動すべき監視哨は@2つもあるという。
こんな時だ。
自分の甘さを痛烈に後悔するのは。
ただ。
何も分かっちゃいないウチでも唯一つだけ解ってる事がある。
多彩なフレ様に恵まれたウチは果報者という事。
その中の一人、ピトさんのお陰でウチもようやく皇国を知る、
はじめの一歩を踏み出した。