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FF11±ゼロ。

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フクスケ。

トテトテと覚束ない足取りで歩を進め、目の前にあった壁を叩く。
それに飽きたのか、しばらくすると黒衣の足元へ戻る姿。
その姿は、まるでアレ。

祖父の通夜と告別式の為に久喜の実家に着いたのは正午。
予想通り穏やかだった祖父の顔を見て、笑って送ろうと決めた。

親父と3人いるオジサン話では、連日、というか逝く前日まで
声が嗄れる程、口喧嘩をしたそうだ。

「ごじる(水に浸して柔らかくした大豆をすりつぶしたものを入れた
味噌汁)のすり方が甘い。ごますりで!手作業で!細かく!」
「背中を流すなら、もっとシッカリとこすれ」
「朝の味噌汁の味噌は、すりきりで赤味噌で、丁度大匙2杯」

明日をも知れぬ、という人が、そんな小さい事を注文をつけはしない。

入院を拒否し、通院を否定し続け、流石に老いてきた祖父を心配して
様子を見に来る親族に言いたい放題。

「お前らには世話にならずに逝ってやる!」
ウチが幼少の時分に豪語した通り、ある意味イカシタ最後だと思う。

「もし、それが本当なら笑ってやる」
当時も生意気そのものの幼稚園年長、つき2組のウチは言い放った。
確か、その夜は尻が痛くてマトモに座れなかった事まで思い出す。

ウチも言ったからには、笑って送ってやる事に決めた。

通夜は親父から頼まれて会計係をしてたから、式には参加しなかった。
受付の奥の部屋で頂いた香典と記帳と付け合せしながら、読経と。
「ア゛ー!」
時折、響く幼児の叫び声を聞きつつの作業。

親不孝。
そう自他ともに認める通り、実家にはもう何年も帰省しない。
加えて、ウチらの家風というか気風というか、元旦にとか、お盆にとか、
一同揃う習慣が無かった。
各親族が或いは各々個人が祖父母に挨拶しに行って、時間が合えば
親類と近況を飲み食いしながら話す。
そんな、ゆる~い付き合いで済ましていた事もあろう。

もう何十年単位で従姉弟妹に会ってない。
だから、役目を済ませ斎場の別室に行き、飲み食いしてる方々を相手に
始まるのは強制「火曜日恒例、1枚の写真~」ゲエム。

伝説のクイズ番組「ぴったしカンカn」で芸能人の幼少時代の写真から、
その週のゲストを当てる問題をリアルでやる破目に。

ゼロ「【えーっと】間違ってたら、アレなんだけど、ミホちゃんだよね?」
「そうだけど。。。【えーっと】【誰ですか?】」

そんなゲエムが延々と続く。
自慢をしよう。
ウチは結構、人様の顔は忘れない方だ。だから大抵、見分けはつく。
逆に、ウチの事は名乗らない限り「あ~!」っと言ってもらえない。
何人かに話し掛けてみると、ジョジョにその理由が解ってくる。

「おかっぱの」
「わんぱくな」
「きかんぼの」
「おちつきのない」
「チョロチョロしてる」

ウチ自身が忘れていた自身の幼少が脳裏に蘇ってくる。

「黒いスーパーサイy人」と称されるツンツン頭で、分別があり、慎み深く、
理解に溢れ、落ち着き払ったオッサンがウチだとは想像の埒外らしい。

もう20年も会ってなかった、従姉のミホ姉とウチの横をトテトテと覚束ない
足取りで通り過ぎて、目に入ったガラス張りの壁を叩く姿が目にはいる。
しばらくするとミホ姉の喪服の足元にトテトテとしがみ付きに戻ってくる。

「ごめんねー。ウルサイでしょう?スグ止めさせるから」
その子はミホちゃんの子、つまり、いとこ違いだという。
日が経つのは早いモノだ。
気付かない間にウチは8人のイトコオジさんになってた。

カラダよりオツムが1.5倍くらい大きな、そのコをみてウチの親父が言った。

「その大きな頭!トシユk(ミホ姉の父で親父の弟)!お前にそっくりだなあ。
福助みたいに頭が詰まっておっきくて!フク坊だな!」

親父の口から飛び出た、フクスケという名を聞いてヤッパリと思った。
その姿がアレに似てるな、とは思ってた。

遡ること、2年も近く前になる。その日、ウチは故郷の共和国にいた。
皇国から来た首の長い芸人さんに会うため。
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ゼロ「思い通りに動かせないんでしょ?」

ペット職種大好きと公言するウチが、フェローと呼ばれるシステムを
やろう!というイマイツツ程、起きない理由はソコだった。
完全に思い通りとは言わないけど。
ペットである以上、ある程度の命令を聞いてくれないと困るyp?
というのがウチのスタンスだった。

「からこり、面白いよ?」
勝手に【先生】と一方的に決めた、ゆこ様の【からくり士】評。

完全に言うことを聞く訳じゃない。
すごい賢いわけでもない。
でも。
育ててみると結構楽しい。

いとこ違いの幼子に、親父が名づけた渾名は。
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二年近く前にウチが新しい分身に与えた、名前と同じ。

頭でっかちなコがテコテコ歩いて行って、テコテコと戻ってくる。
言うことを聞かないし、才気走ったところも正直感じられない。
でも。
ミホ姉が分身であるフクスケを見る目は優しい。

その理由が、今はチョット解る。

祖父の通夜に笑って過ごせそうな事を一つ見つけて、少しだけ
愉快になれた。それで今日は十分だと思った。

さて、と。
色んな意味で長々と、おまたせしました。
本題。
【からくり士】篇、不定期でお届けしていこうと思います。
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by zerohour_co | 2010-05-28 22:48 | FF>>からくり士

簡潔。

味気のない電子音がドッカで鳴った。
私物ケータイのメール着信音。

オトコマエの龍馬を画面でチラチラ見ながら。
てもとのPCでシゴトの残務処理をする日曜日の夜。

携帯でのメールは苦手だ。

出来ることなら一番簡単な方法で済ませたい。
シンプルイズベスト等とゴタイソウな事をいうつもりは無いが、
叶うことなら手間と時間は少なく効果が上げられたら最高。

そんなウチだから。
チクチクと文字を打つ時間があったら、電話一本掛けてしまう性質だ。
「そんな報告は携帯メールで良いのに」
等と言われた日には。
「携帯なんぞでメール打ってる時間が勿体無いです」
そう上長にすら楯突いてしまう性質だ。

そんなウチにメールを、日曜の夜に、一週間も残り数時間の時刻に
送ってくる人がいる。

電話や連絡を必要以外にしたがらない事は、ウチを知る結構な人が
知っている。
ソレを承知の上で敢えて送ってくるとなるとタダゴトでは無い気もする。
チェックは明日でイイかな、と一瞬思ったが、ケータイを探すことにした。

ケータイはすぐに見つかった。背広の胸ポッケに納まったままだった。
まるまる二日間、触らなかったケータイを操作すると父からのメール。

タイトル:おしらせ
本文:今朝祖父がなくなりました。帰れるようなら連絡ください。

自分が使わない時には、携帯の電源を切ってしまう父である。
言いたい事を、全てタイトルに入力してしまう為、タイトルがいつも
結構な文字数になってしまう父である。
幼い時分、必要時以外は電話をしてくるな!と怒鳴り散らした父である。
「返事がないのは良い便り」
ウチが強弁して連絡はおろか帰省すらしないのを、過去の己と照らして
恐らく苦笑いと共に理解している父である。

その父が祖父の死をメールでよこした。

なんとなく、理解できる気がする。
実家に連絡をする。
祖父譲りの頑固者は今後の件で叔父達と話しあってるのだろう。
家には母しかいなかった。

享年92歳。
肺血栓の気があり通院はしていたそうだが、昨日まで元気だったそうだ。
本当に今朝、救急車で運ばれてスグということの由。

「俺は誰の世話にもならないでコロっと死んでやるからな」。
記憶に残る祖父はウチにそう宣言してた事を思い出す。
ジイサンらしくて笑える。
そういえば、ジイサンもいつも電話が素っ気無かった。
ダラダラした無駄を嫌い、簡潔明瞭を良しとする気風は遺伝かもしれない。

26日通夜、27日告別式。
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by zerohour_co | 2010-05-23 23:46 | 浮き世のコト