次の獲物と見定めたモンスターに淡い緑色の種が飛んでゆく。
それが敵の頭上で淡い双葉となって生えるのを見届ける前に、
振り返って走りだす。
冒険者の故郷、中の国最大の砂漠にある脳筋種族の旧領にて、
獣人「蟻」の現巣窟。
【流砂洞】。
蟻特有の巣穴のような侵食を免れて、脳筋と嘲られてるのとは
別の、【ガルカ】の高度な技術に支えられた人工的で精密な造り
建造物を思わせる部分の入り口付近に布陣する冒険者御一行。
平日の朝早くから、もの凄いキバってます。
忍戦モ竜白と【青魔導士】のウチ。
この流砂洞では同じモンスター名でも強さの違う敵も多いのだが、
今日もお相手もそう。カブト虫や蟻を狙ってくと聞かされる。
忍者様「zero, 【魚】【はい、お願いします。】」
戦士様「【やったー!!】【はい、お願いします。】」
ゼロ「??? why?」
レレルマゲの様なパーティにて、メンバーのいるキャンプまで
モンスターを連れてくる役割を請け負った人のことをスラングで
【釣り】や【魚】というのは過去に述べた通り。
リンクしたり絡んでくるモンスターがいる中で、それらの障害を
避けつつ目的のモンスターだけをキャンプまで導けるかの手腕。
さらには、キャンプに付く前にメンバーに被害が出ないようにする、
等の配慮をすることで効率はおろか士気にも影響が出てくる。
『そういった意味でPT全体の戦意を左右するポジションと言って
過言ではない。』とまで言われる重要な役割。
ソレが釣り役。
前衛とされる職種が4人、回復が出来るMP持ちがウチ入れて、
たった2人。
この構成なら、ウチの感覚なら戦様か忍様あたりが釣り役だと、
思うのだが。突然の御指名がウチにはいりました。
ゼロ「なんでやねん。ホワーイ?」
小人族【タルタル】なら感情表現【/huh】モーションを駆使して、
可愛く可笑しく異議を唱えて、お役御免になってるトコロ。
ナントナク目が離れてる感じのする量産型F4グラフィックたる
ウチには、そんな小技は通用しない。
嗚呼、ネタに乏しい量産型一派よ。。。
せめてもの抗弁に、理由だけでもと今一度確認する。
ゼロ「なんでウチが釣り役なん?」
「蟻は聴覚感知で戦士だと絡まれるし。私は釣り役苦手だし」
続けて戦士様が答えて曰く。
「日本人は【魚】が好きでしょlol」
モニターを呆然と見つめる某坊主頭。
確かに魚は好きだけど、【肉料理】も好きだもん。
つか釣り役は大の苦手だもん。。。
外国人様に、こんな日本人感があるとは思わなかった。
『諦めたらそこで試合終了だよ』
『無駄無駄無駄無駄ァ』
そんな内なる声がウチの中で相克する。
ゼロ「安西先生。。。レレルマゲがしたいです」
って事で、『前衛4人いるのに何故か青魔が釣り役』作戦という
前代未聞のレレルマゲ発動。
次の獲物と見定めたモンスターに淡い緑色の種が飛んでゆく。
それが敵の頭上で淡い双葉となって生えるのを見届ける前に、
振り返って走りだす。
振り返る余裕はナイ。
被ダメージを抑えるため防御力を上げる青魔法【コクーン】を
唱えてはいるけれど、カブト虫を釣るために蟻2匹がリンクして
入り口まで付いてくるのが判るから。
「イェー」「ワォ」と嬌声を挙げながら嬉々としてカブト虫を叩く
仲間の元に、蟻に殴られつつも一旦出た砂漠から元に戻って
戦闘に参加する某青魔。
結果、4戦目にして。
リーダー様「【眠くなりました。】【解散します。】」
その一言を残して蟻を釣って、パーティに戻っている最中に
解散されました。
【えーっと。。。】ウチの【魚】がお気に召さなかった模様で。
ゼロ
「1、2、3、シンジラレナーイ!」
(パーティメンバーがいません。)
必死に出口に駆けて奇跡の生還を願いつつも、読み込みで
生じるタイムラグという現実の前には勝てずに、ぷりけt。
いつも心がけてきた事がございます。
暗い・救いがない・誹謗中傷といった出来事については、
慎重に記事から取り除いてるツモリで記事を書いてます。
拙い文章を読んでくれてる極少数の方のため、というよりも、
ウチ自身が後日読んだ時に後味が悪いから。
今回のは「救いがない」ので本来は記事にしないんだけど。
ずっと苦い記憶に残ってるので、あえて記事にしときます。
あえて全て書き出す事でスッキリ!するのも知ってるので。
「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」
以前、某有名コピーライターが考えた
某有名映画のコピーを
引き合いに出した事もあったけど。
落ち込んでる暇があったら、突っ走った方が幾分かウチらしい。
蘇生魔法【レイズ】もなく経験値フルロストして拠点に戻った
2分後。
別の外国人部隊に拾われたウチは、再び目にした蟻を相手に
復讐の鬼と化して荒稼ぎ。
【青魔導士】48>>50。
繰り返す。
おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。
目標の還暦まで、天命を知る50代。いよいよ来ました。